キューバの借金“帳消し”／反米ニカラグア急遽訪問

【ニューヨーク＝黒沢潤】ロシアのプーチン大統領は１１日、中南米歴訪の最初の訪問国キューバに到着し、首都ハバナでフィデル・カストロ前国家評議会議長（８７）らと会談した。プーチン氏は同日、中米ニカラグアも訪問して反米左派のオルテガ大統領と会談し、ウクライナ情勢で対立する米国への対抗姿勢を明確に打ち出した。

　プーチン氏のキューバ訪問は２回目。カストロ前議長との会談は約１時間にわたった。高齢の前議長は公式な場に出る機会が減っているが、チェックのシャツと白のジャージー姿で両国関係などについて精力的に意見交換したという。

　プーチン氏は前議長の実弟ラウル・カストロ現議長とも会談。ウクライナ情勢などが主要な話題になったとみられ、議長は「国際社会の中でロシアが実行している政策について意見が一致した」と語った。

　ロイター通信などによれば、プーチン氏は米国の経済制裁で困窮するキューバを救済するため、旧ソ連時代に同国に貸した３５０億ドル（約３兆５５００億円）超のうち約９割を帳消しにすると表明。また、ロシアが独自に開発した測位システム「グロナス」の地上施設をキューバに設置したい意向も伝えた。

　両国は、カリブ海域での油田開発や、キューバ北部の港湾整備など、米国の「裏庭」で経済協力を強化することで合意した。

　また、旅程を変更して訪れたニカラグアでプーチン氏は、「ニカラグアは重要なパートナーだ」と強調した。同国は、グルジアからの独立を主張する南オセチアとアブハジアを２００８年に国家承認している。

　プーチン氏はこの後、アルゼンチンに移動。同国のフェルナンデス大統領は、英国と領有権を争うフォークランド（スペイン語名マルビナス）諸島を英領とみなす米国を批判しており、ウクライナ問題で米国を批判するプーチン氏と足並みをそろえるとみられる。

　プーチン氏はブラジルで１５、１６日に開かれる新興５カ国（ＢＲＩＣＳ）首脳会議に出席。中国の習近平国家主席やインドのモディ首相と個別に会談し、米国の対抗軸形成に向けた連携強化を確認し合う見通しだ。